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2026/01/05
◆NSR通信2026年1月号◆「令和8年の法令改正」

在職老齢年金の支給停止基準額引き上げ

在職老齢年金は、賃金(賞与込み月収)と年金の合計額が支給停止調整額を上回る場合に、年金額を減額するしくみ。令和8年4月以降、この支給停止の基準額が現行の51万円(令和7年度額)から62万円に引き上げられる。人材確保や技能承継などの観点から、年金の減額を意識せずに働ける環境を広げることで高齢者の活躍を後押しする。

なお、実際に令和8年度に適用される基準額は、名目賃金の変動に応じて改定され、令和8年1月下旬を目途に公表される予定だ。

離婚時の年金分割の請求期限の伸長

現行の年金制度は、離婚する際、離婚期間に係る厚生年金の計算のもととなる保険料納付記録について夫婦間で分割すること(離婚時の年金分割)ができる。

この請求期限については、民法における離婚時の財産分与請求権の除斥期間が2年とされていることを踏まえ、これまで2年と設定されていた。だが、民法における離婚時の財産分与請求権の除斥期間が2年から5年に伸長されることから、それに伴い、離婚時の年金分割の請求期限についても5年に伸長する。令和7年6月20日に公布された年金制度改正法では、施行期日を公布日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日としていたが、施行期日を令和8年4月1日と定める政令が11月6日に公布された。

高年齢労働者の労働災害防止措置(努力義務)

労働安全衛生法の改正により、令和8年4月から、高年齢者の労働災害の防止を図るため、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることが事業者の努力義務となる。

事業者が講ずべき措置に関しては、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を厚生労働大臣が公表する。

指針に基づき、厚生労働大臣が事業者またはその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。

指針に関しては、現行の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」をもとに、一部見直しを行い、策定する方針が示されている。

治療と就業の両立を促進する措置(努力義務)

労働施策総合推進法の改正により、令和8年4月から、疾病を抱える従業員がその治療をしながら就業を継続できるよう、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講ずることが事業主の努力義務となる。これまでも労働安全衛生法において、事業者による労働者の健康確保対策に関する規定が定められており、その観点から治療と仕事の両立のために必要な措置などが位置づけられていたが、労働施策総合推進法においても両立しやすい環境整備を事業主に求める。指針については、現行の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」をもとに一部見直しを行い、策定される予定だ。

男女間賃金差異の情報公表義務の対象拡大

女性管理職比率の情報公表の義務化

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画では、これまで従業員数301人以上の事業主を対象に男女間賃金差異及び、①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供、②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備、に関する各項目から、それぞれ1項目以上(計2項目以上)の公表が義務づけられ、同101人以上300人以下の事業主には、上記①②いずれかから1項目以上の公表が義務づけられていた。

令和8年4月から、従業員数301人以上の事業主には、男女間賃金差異に加えて女性管理職比率の情報公表が必須項目に追加。さらに、上記①②2項目以上の情報公表が義務づけられる。同様に、同101人以上300人以下の事業主にも、男女間賃金差異に加えて女性管理職比率の公表が必須となり、さらに上記①②いずれかから1項目以上の情報公表が義務づけられる(表2参照)。

えるぼし認定制度の見直し

女性の活躍推進に関する取り組みが優良な事業主を認定するえるぼし認定制度は、全3段階の認定基準がある「えるぼし」と、さらに高い水準の取り組みが求められる「プラチナえるぼし」の4類型がある。このうち「えるぼし」の1段階目の要件を見直すほか、すべての認定段階でプラスできる「えるぼしプラス」(仮称)を創設する。 「えるぼしプラス」(仮称)の認定要件は、女性の健康上の特性に配慮した休暇制度とともに、①半日単位・時間単位の年次有給休暇、②所定外労働の制限、③時差出勤、④フレックスタイム制、⑤短時間勤務、⑥テレワーク等のうち、いずれかの制度を利用できることなど。なお、各制度の対象は、女性に限定しなくても差し支えない。

健康保険の被扶養者認定の収入要件見直し

健康保険の被扶養者認定については、算定対象となる収入の範囲を見直す。これまでは認定対象者の「過去の収入、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入の見込みにより判定する」とされ、時間外労働に係る割増賃金等を含むあらゆる収入が対象となっていたが、令和8年4月以降は、労働契約に明確な規定がなく、契約締結段階では見込むことが難しい収入(時間外労働に係る賃金など)については、被扶養者の認定における年間収入に含めない。被扶養者認定の予見可能性を高めることで、認定対象者の就業調整を回避するのがねらい。当初は想定されなかった時間外労働の賃金などにより、結果的に年間収入が基準額以上になった場合であっても、その収入が社会通念上妥当な範囲に留まる場合には、これを理由として、被扶養者としての取扱いが変更されないことを明確化する。

子ども・子育て支援納付金の徴収開始

雇用保険の出生後休業支援給付金や育児時短就業給付金、自営業者やフリーランス(国民年金第1号被保険者)の育児期間中の保険料免除などの財源とされる「子ども・子育て支援納付金」は、令和8年度から医療保険料とともに徴収が開始される。健康保険の場合は、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に、それぞれ一般保険料率と子ども・子育て支援金率とを合算した率を乗じて得た額を保険者が徴収する。

 

  

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